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アウトバーンの巨獣:2026 Mercedes-AMG GLS 63 試乗レポート
2026.04.21NEW

アウトバーンの巨獣:2026 Mercedes-AMG GLS 63 試乗レポート

レビュー
#Mercedes-Benz

1. SUVのSクラスが到達した「AMGの最適解」

メルセデス・ベンツのフラッグシップSUV、GLSは長らく「SUVにおけるSクラス」の役割を担ってきた。しかし、最新の2026年モデルとなるMercedes-AMG GLS 63は、単なる豪華な移動空間を超え、電動化への過渡期におけるハイパフォーマンスSUVの「最適解」を提示している。4.0L V8という伝統の心臓部を守りつつ、48Vマイルドハイブリッドという知性を統合した本作は、ブランドの戦略的要衝であるラグジュアリーSUVセグメントにおいて、極めて重要な意味を持つ。

本レポートでは、ドイツ・アウトバーンでの超高速試乗で知られる「AutoTopNL」のMax氏によるレビューに基づき、その真価を解剖する。2.5トンを超える「巨獣」をいかにして精密なスポーツマシンへと変貌させたのか。独創的な視点と、極限状態での車両挙動を可視化するMax氏の卓越した批評眼に敬意を表しつつ、その技術的背景を読み解いていこう。

次セクションでは、動画から抽出した核心的なアップデート内容を概観する。


2. 進化のポイントを読み解く

今回の新型GLS 63において、技術的・市場的に注目すべきポイントは以下の4点に集約される。

  • パワートレインの高度な統合: 熟成の4.0L V8 Biturboに「EQブースト(22hp)」を付加。トータル634hp / 850Nmの出力を確保し、低回転域のレスポンスと環境性能を両立させている。
  • 「AMGドライバーズ・パッケージ」の意義: 最高速度が280km/hへ引き上げられ、それに耐えうるミシュラン・パイロットスポーツ4Sが標準装着される。
  • シャシー制御の次元向上: アクティブ・ロール・スタビライゼーションに加え、アクティブ・エンジン・マウントを新規採用。この巨体をフラットに保つためのハードウェアが徹底強化された。
  • 「MANUFAKTUR」による深化: メルセデス最高峰のパーソナライズプログラムが適用され、SUVであることを忘れさせるSクラス級の内装クオリティを実現。

これは単なるマイナーチェンジではない。厳格化する環境規制(CO2排出)と、AMGに求められる官能的なパフォーマンスという矛盾に対し、V8の咆哮を残しつつマイルドハイブリッドで補完するという、現代における「絶妙なバランス」の具現化である。純内燃機関時代の荒々しさを、洗練された制御で包み込んだ過渡期の傑作といえる。

3. ハードウェアとUI/UXの深層解剖

ハードウェア解析:物理法則をねじ伏せる仕掛け

エンジニアの視点で最も注目すべきは、アクティブ・エンジン・マウントとロール剛性制御の協調だ。コーナーではマウントを硬め、スタビライザーを連結して巨体の慣性移動を抑え込む一方で、直進時はこれらを切り離し、23インチホイールを履いているとは思えないしなやかな乗り心地を作り出す。この「結合と分離」の妙こそが、AMGの魔法の正体である。

また、カーボンセラミックブレーキの採用は、単なる制動力の確保に留まらない。2.5トンを超える重量級SUVにおいて、バネ下重量の軽減はサスペンションの追従性を劇的に高める。さらに、標準モデルより10mm低いベース車高と、高速走行時の自動沈降機能は、前面投影面積の縮小による空力改善と、アウトバーンでの圧倒的な直進安定性に寄与している。

UI/UX・サウンド解析:デジタル時代の官能性

インテリアの操作系は、ステアリングのタッチ操作に難色を示す意見もあるが、ドライブモードを瞬時に切り替えられる「ツイストノブ」の物理的な手応えは、走行中の確実な操作を担保する優れた設計だ。また、レビュアーが「一度体験したら戻れない」と評したアームレストヒーターは、UXにおける「ホスピタリティの極致」であり、冷間時の快適性を飛躍的に高めている。

特筆すべきは、排気音のチューニングだ。最新の「E-Performance(S63やGT等)」で見られる人工的な電子音とは一線を画し、V8本来の「AMGグロール(咆哮)」が守られている点は、ファンにとって最大の福音だろう。

主要諸元比較(スペックシート)

項目

2026 Mercedes-AMG GLS 63

補足事項

エンジン

4.0L V8 Biturbo + 48V MH

EQブースト(22hp)統合

最高出力

システム合計 634 hp

612hp(V8) + 22hp(モーター)

最大トルク

850 Nm

全域でフラットなトルク特性

トランスミッション

9速オートマチック

AMGスピードシフト

0-100km/h 加速

4.2 秒

物理法則に抗う加速力

最高速度

280 km/h

ドライバーズパッケージ適用時

車両重量

約 2,600 kg

公称2トン強だが実質はこの域

4. レビュアーの視点:アウトバーンでの官能評価とユーモア

Max氏は、アウトバーンという過酷な舞台でGLS 63の本性をユーモアたっぷりに描写している。

巨大な足回りへの驚嘆

"325s at the rear... Holy moly that is so big. That’s what she said, anyway."

リアタイヤは325mm幅か……とんでもないデカさだ。まるで「あら、なんて大きいの」というお決まりのジョークが聞こえてきそうだよ。

325mmという幅は、最新のスーパーカーと同等だ。Max氏のジョークは、この重量級SUVが最高速域で路面を捉え続けるために、いかに「常軌を逸した接地面積」を必要としているかを逆説的に物語っている。

280km/hの壁を越える優越感

"At least you can pass all those guys that are limited at 250 in your big AMG."

少なくともこの巨大なAMGなら、250km/hでリミッターがかかっている連中を涼しい顔で追い越していける。

メーター読み288km/hに到達した際の発言だ。ドイツの高級セダンの多くが250km/hで制限される中、この巨体で彼らを抜き去るという体験は、AMGオーナーだけが享受できる「力の象徴」であり、至上の優越感である。

独特な色彩感覚と質感の評価

"This monu (MANUFAKTUR) leather which is... liver colored, like brown gray."

このマニュファクチュールのレザーは……そう、レバー(肝臓)のような色だね。ブラウンとグレーが混ざったような深みがある。

「レバー色」という独創的な表現を使いつつも、Max氏はその後の解説で、その肌触りと高級感を高く評価している。伝統に縛られない独特の色調を採用する点に、マニュファクチュール・プログラムの真の贅沢さが表れている。

※本車両のオランダでの価格は約34万ユーロ(日本円で約5,610万円)という、CO2税が上乗せされた驚異的な設定となっている。

5. グローバルユーザーが示す「期待と懸念」

動画のコメント欄を分析すると、世界のユーザーがこの「巨獣」に対して抱く二面性が浮き彫りになる。

ひとつは、「絶滅危惧種たるV8への賛辞」だ。オランダのように車両価格の約半分が税金という過酷な市場においても、「それでもV8を作り続けるAMGの執念に感謝する」という声が多い。内燃機関の終焉が囁かれる中、この咆哮を維持すること自体が一種のステートメントとなっている。

もうひとつは、「サイズという名の暴力」に対する議論だ。製造拠点である北米では「標準的なフルサイズSUV」として扱われるが、欧州やアジアの狭い道路では文字通りのモンスターだ。この巨大さがラグジュアリーとしての「余裕」と捉えられるか、都市部での「障害」と捉えられるか、市場の反応は真っ二つに分かれている。

6. まとめ

2026年モデルのGLS 63を日本で走らせることを想像すると、期待と現実の入り混じった評価となる。

まず、日本の道路環境において、325mmという極太のリアタイヤは、アウトバーンでは最高の武器となるが、わだちの多い日本の一般道では「ロードノイズ」や「ワンダリング(わだちに足を取られる現象)」を誘発する懸念がある。しかし、それを補って余りあるのが、アクティブ・エンジン・マウントとロール制御がもたらす「魔法の絨毯」のような乗り味だ。

全長5.2m、全幅2m超というサイズは、都市部の駐車場で苦労することは避けられない。しかし、この車を検討する層にとって、それは些末な問題であろう。家族全員をSクラスの静粛性と快適さで包み込みながら、アクセルを踏み込めばV8の咆哮とともに物理法則を無視した加速を披露する――この究極の二面性こそがGLS 63の真髄だ。

結論として、日本仕様においてカーボンセラミックブレーキやアームレストヒーターがオプション設定されたとしても、迷わず「全部入り」を選ぶべきだ。大排気量V8を心ゆくまで楽しめる時間は残り少ない。この「物理法則を力業でねじ伏せる巨獣」を所有することは、自動車工学が到達したひとつの頂点を手中に収めることと同義である。

Source: AutoTopNL / 2026 Mercedes-AMG GLS 63 // REVIEW on AUTOBAHN

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